1 調査方法
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平成9年10月、八代市内の小・中学校に、現任校での不登校児童生徒の指導に携わった経験を、アンケート用紙(別紙資料)に記入してもらった。 |
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不登校アドバイザーと子ども支援相談員に、対応の仕方について聞き取り調査をした。 |
2 指導事例
(1)どんな対応をされましたか。 電話連絡、家庭訪問、配布物をもって行くという対応は、全部の事例でなされ
ている。 その他の事例としては次のようなものがあった。(重複した事例は除く)
☆改善された事例 ○小学校 ・ 行事には連絡をとって参加するよう働きかけた。(小男) ・ 養護教諭が家庭と連絡をとり家庭訪問を続けた。担任は昼休みや放課後
に友達と遊びに行き、人間関係を保つ努力をした。(小男) ・ 欠席の時は手紙を家に届けた。(小女) ・ 家族との人間関係を深め励ました。学級の子どもと接する機会を多くした。
(小男) ・ 担任は、生徒指導部と相談しながら登校刺激をした。(小男) ・ 学校の配布物は兄弟に持たせた。(小女) ・ プリントや学校の様子を一言書いた手紙を毎日届けている。(小男) ・ 友人が朝から迎えに行ったり、担任が迎えに行くと登校する。(小男) ・ 手紙や電話で子ども同士の交流をさせた。(小女)
○中学校 ・ 家庭訪問した時は、学校の話題をさけ会話を長く続けるようにした。
学校からの配布物は最小限にした。(中男) ・ 不登校ぎみの子どもが迎えに行くときは登校する。(中男) ・ 配布物は近所の女生徒に届けさせている。(中男) ・ 保護者・担任・学校長で話し合いを続けている。(中女) ・ 休んだときは必ず家庭訪問をし、近所の友人も毎日声かけをしている。
(中女) ・ 家庭訪問したときは親とじっくり話している。(中男) ・ カウンセラーや専門医への相談をすすめた。相談を重ねていくうち改善さ
れつつある。 (中男) ・ 校内の「不登校対策委員会」のメンバーで家庭訪問をした。(中男) ・ 父親と母親、別々に話し合いをもった。(中男)
★改善されなかった事例 ○小学校 ・ 配布物は担任が届け、家庭学習の定着を図った。(小男) ・ 連絡カードを、近所の友達に毎日持っていってもらった。(小男) ・ 電話で連絡がとれないので家庭訪問を続けた。クラスの友達が手紙を届け
たりした。母親には数回学校に来てもらい相談した。(小女)
○中学校 ・ 職安の方を交えて進路相談をしている。(中男) ・ 電話連絡がとれず、家庭訪問しても本人とは会えないことが多いので、手
紙を置いて帰っている。(中女) ・ 担任が迎えに行ったり、友人が迎えに行ったりしている。(中男) ・ 家庭訪問しても不在の時が多く、なかなか本人と話ができない。(中男)
▽相談機関の対応 (a) 相談への基本的姿勢として、「人生にとって経験ほど大切なものはない。
不登校の苦しい経験は、思いやりや優しい心を育み、人生をプラスにして
いくものになる。不登校をプラス思考でのりこえるような逆転の発想で、将来
は笑い話にできるようにしよう」と笑顔を忘れず相談者と対応している。 (b) 対応の方法は、定期的な家庭訪問や電話で日常生活の様子を聞いたり、
来所してもらい相談に応じている。支援者であることを十分理解してもらえる
と、子どもも保護者も自分の思いを話してくれるようになる。また、学校と家
庭の中間に位置し、それぞれの思いを聞き、仲介役となるように心がけてい
る。 (c) できるだけ学校と連携して、お互いの気持ちを報告し、相談しながら対応し
ている。場合によっては、専門家や専門機関への紹介をしている。 (d) 会話の中から子どもたちの支えになってくれる人を察知し、一緒に対応し
ていった事例では効果があった。
(2)どんな支援(言葉かけ)がプラス(マイナス)でしたか。
☆改善された事例 ○小学校 ・ 家庭訪問してもなかなか本人と会えなかったが、ねばり強く家庭訪問を繰り
返し、本人の部屋で会話ができるようになった。(小男) ・ 家庭訪問では、本人の好きなことや興味のある話をして、長い時間をかけ
た。(小男) ・ 学習について本人も気がかりだったため、復習プリントを与えたら意欲的に
取り組んだ。(小男) ・ 昼休みや放課後、友達が訪問すると抵抗なくお互いに話ができた(小男) ・ 連絡カードを毎日届け、学級の一員であることを印象づけた。(小男) ・ 登校刺激をあまり与えないようにしている。(小男) ・ 「くま川教室」(適応指導教室)の取り組みを紹介した。(小男) ・ 登校刺激をせず、気軽に話すことや、母親と仲良くなったことで、担任への
緊張感がなくなってきた。(小男) ・ 学級の子どもたちの受け入れがスムーズなので、登校したときは普通に過
ごせる。(小男) ・ 個別の学習課題を与え、励ますと1日何枚もやるほど意欲が出た。(小男) ・ 家まで迎えに行くと一緒に登校する。(小男) ・ 係の仕事や家庭科の作品のよかったところを強調してほめた。(小女) ・ 注意は個別に別室で行い、ほめるのを全体の前でするように心がけた。
(小女) ・ 仲のいい友達が迎えに行くと、登校の兆しが見えた。(小女) ・ しばらくそっとしておくことで、精神的な落ち着きがみられた。(小女) ・ 養護教諭の自宅に招待したときは、話しも進みいい笑顔がみられた。
(小女) ・ 自分で予定を立てさせると守れるようになり、登校できるようになった。
(小女) ・ 皆が待っていることや休むことは悪いことでないことを話している。(小男) ・ 見学旅行のおみやげはとても喜んだ。担任の電話や友人の手紙は楽しみ
にしている。(小男) ・ 生活の乱れをなおすため、母親に決まった時間に起こすように頼んだ。
(小男) ・ 学習の遅れを個別指導したら、登校しつつある。(小男) ・ 家庭訪問を続け、ゲームやキャッチボールをしながら話し込んでいる。
(小男) ・ 本人の心理状態をみながら、徐々に刺激を与えていった。(小男) ・ 「一緒に考えよう」という言葉かけをしながら、本人に決めさせていった。
(小男) ・ 運動会、旅行など弁当を用意して迎えに行ったら参加した。(小女) ・ クラスの温かく受け入れる雰囲気が理解できた。(小女) ・ 明日は登校すると自分から約束したときは登校できる。(小女) ・ 電話や家庭訪問を繰り返すことで本人とのコミュニケーションがとれた。
(小男) ・ 生活科の楽しい活動には参加できる。(小女)
○中学校 ・ 教師と一緒に登校した。(中男) ・ 学級での受け入れ態勢を話し合った。(中男) ・ 進路の話し合いをすると、高校の体験入学に参加した。(中男) ・ 単身赴任の父が帰省しているとき進路の話し合いをしたら、自分の意見を
きちんと話してくれた。(中男) ・ 登校刺激をせず、身近な話題で心をほぐしていった。(中男・女) ・ 話を聞いてやると、懸命に話す姿がみられた。(中男) ・ 自分の能力を生かす道についての話し合いでは、表情が明るくなった。
(中男) ・ 高校説明会には関心が高かった。(中男) ・ 興味のあることについては、いきいきと話してくれる。(中男・女) ・ クラス全員に手紙を書かせて届けた。(中女) ・ 家庭訪問で家の外を歩いたり、動物の話をすると明るくなる。(中女) ・ 行事へのクラスの取り組みの様子を話すと関心を示した。(中女) ・ 卒業証書を手渡すことができた。(中女) ・ 家庭訪問を繰り返すことで、意思の疎通ができるようになった。(中男) ・ 修学旅行には参加し、係活動も立派にできた。(中男) ・ 初期には迎えに行くと登校できることが多かった。(中男) ・ 運動会、水泳大会には参加しやすい配慮をしたら参加した。(中男) ・ 同じ不登校ぎみの生徒の誘いに応じて、行事には参加している。(中男) ・ 宿泊訓練では、予想以上の頑張りで皆を驚かせた。(中男) ・ リラックスしている夏休みに登校刺激したら、2学期から断続的に登校出来
るようになった。(中女) ・ 本人の頑張りを周りも理解できるよう努力している。(中女) ・ 学校の話題をさけると応答だけはしてくれるようになった。(中女) ・ 一方的な家庭訪問を繰り返していたが、半年後には「ありがとうございまし
た」と言ってくれた。(中女) ・ 友達が遊びに行くと、一緒に外出できるようになった。(中男) ・ 運動会では、クラスの一員として頑張ってくれた。(中女) ・ 進路の相談で目標をもたせたら、学習意欲が出て登校を考えるようになっ
た。(中女) ・ 友達が休日に遊びに行き、魚釣りに誘い、家から出るようになった。(中男) ・ 保健室登校のときは、級友が声をかけたり給食に誘ったりした。(中男)
★改善されなかった事例 ○小学校 ・ 学習を好まず、個別指導もできない。(小男) ・ あまり多くのことを望むと、気にしすぎて欠席につながる。(小男) ・ 登校しなくても家庭で学習時間を決めたり、母親の看病ができているので
「よし」と思っている。(小男) ・ 登校を渋ったとき、明日は登校すると約束させたが一度も登校しなかった。
(小男) ・ 本人との会話がほとんどできなかった。(小女) ・ 登校したときは、音読や体育への不安を取り除けなかった。(小女) ・ 家庭訪問したとき保護者との話が進んだが、それがプレッシャーになってい
た。また、保護者とも本当の意味の信頼関係まではいかなかった。(小女) ・ 「体調がよくなるまでゆっくりしなさい」と言ったことが、「体調がよくなったら
学校へ来なさい」と受け取られた。(小女) ・ 「昼からでもいいからおいで」、「保健室へ来たら・・・」などという提案は中途
半端で本人は嫌がった。(小男) ・ 1日1回、顔を見せに来るよう約束したが、他の子どもに会ったり、新しい約
束を加えると逃げて帰った。(小男) ・ 運動会の練習の頃より、登校できなくなった。(小男) ・ 本人が怖がる子どもがいるため、双方指導するがうまく改善できない。
(小男)
○中学校 ・ 教師が朝迎えに行っていたが、慣れてくると起きなくなった。(中男) ・ 進路のことを話すと、黙り込み、涙を流す状態になる。(中男) ・ 家庭訪問でも、進路が絡んでくると担任に会おうとしなくなった。(中男) ・ 学級の話をしたり登校を促したりすると涙ぐむことがあった。(中女) ・ 本人の思いが聞き取れず、学校からの一方通行だった。(中女) ・ つっぱることもあったが、「あなたの顔が幸せそうにみえないから」と声かけ
をしていったら話し込めるようになった。しかし、気持ちはどんどん「楽しくな
い。さびしい。」という方へ傾いていった。(中女) ・ 「明日はどうする」と本人に決めさせたが返事が返ってこなかった。(中男) ・ 体調の維持についてよく話をしたが、登校刺激はしなかった。(中女) ・ 本人の意思で数カ月ぶりに授業を受けたが、翌日から体調をくずしてしまっ
た。(中女) ・ 不登校の初期に、学校に行かない理由を保護者とともに問いただしたが、
がんとして口を開かなかった。(中男) ・ 将来のことや進路のことになると表情が硬くなった。(中男)
▽相談機関の事例 ・ 学習道具を揃えたり、学校のことや友人のことを話題にするときは、登校へ
のきっかけが欲しいときが多い。登校刺激のチャンスであり、親から担任に
すぐ連絡するとよい。 ・ 部活動だけ、給食だけ、保健室まで、図書室までと徐々に登校を促し行動
範囲を広げていく。 ・ 得意な教科、得意な単元など自分が生かせる場や、学校行事への参加を進
める。 ・ 手紙での励ましは、親しい友人から多数へと広げていき、継続的であること。
返事がくればしめたもの。頑張って登校するように言うよりも、顔が見えない
とさびしいというこちらの気持ちを伝えるようにした方がよい。 ・ 友達の家庭訪問は、親しい友が外へ連れ出すようにし、夏休みや休日など
リラックスしているときが効果的。 ・ 学校からのプリント物へも、一筆書き添えるなど心を通わせる配慮が大切。
近所の友人が郵便受けに入れておいた事例(疎外感を受ける)や兄弟に頼
んだ場合など逆効果のこともある。 プリント物を届けない方がいい場合もあるし、欲しがったら登校刺激のチャン
スでもある。 ・ 担任の家庭訪問は、たとえ会おうとしなくても、自分の存在感を感じるし、自
分のことを思ってくれるという心のつながりはできる。 ある卒業生の言葉に、「俺は担任の先生に負けた。だって、俺が学校に行っ
た日数より、担任が俺の家に来てくれた日数が多かったんだもん。」 彼はうと
ましく思って担任と会うのを避けたこともあったが、訪問日の日数はちゃんと数
えていた。 ・ 担任の言葉かけは、「明日来いよ」はぐっと飲み込んで、「来てくれたら嬉しい
な」、「君が学校にいないとさびしいよ」、「君がどんなにしているか気にかかっ
ている」、「学校に早く来れるように元気になって欲しい」などが、見捨てていな
いという気持ちが伝わりやすい。 ・ 子どもも保護者も自信を失い自己否定している場合は、きつい思いを受け止
めてやり、お互いが認め合うことから始めていくことが大切である。自己肯定
ができるようになったら、思いやりや他人への配慮ができ、友人関係も広くなっ
てくる。 ・ 学習への不安は強いので、学力だけが人の価値ではないことを強調し、自分
の人生は自分で歩くことを話し合っている。 ・ 家族への不満が強い事例では、両親が子どもの話をよく聞き、両親がまず仲
良くすること、兄弟を比較しないことなどを約束したことで、家庭内で居場所が
でき、落ち着きを取り戻した。 ・ 両親・祖父母が子どもを追い込んでいる場合には、担任に家庭訪問を多くし
てもらい、家族と仲良くなることで、家族の会話を取り戻すことができ、子どもの
足が学校へ向いていった。 ・ 保護者が、不登校はどの子にも起こりうることを理解できたとき、気持ちに余
裕ができ、プラス思考ができるようになった。 ・ 登校しようとすると体が動かない子どもには、無理せずゆっくり自分の道を歩
こうと根気よく話し合ったら、「くま川教室」へ通い始め、学校へも時々登校し、
自分を取り戻していった。 ・ 学校と連携しながら、学校行事を機に登校を促し続けたら、時々参加できた。 ・ 子どもや家庭が学校への不満・不信を持つ場合は、仲介役となり学校の様
子や担任の心配を伝えることで、学級の一員であることを再確認できた。 ・ 親子一緒に催しものに参加することで、共通の話題ができ心がほぐれていっ
た。また、参加した後は親子の会話が多くなった。 ・ アドバイザーに任せっきりの事例では、自分のあせりから学校へ行かない理
由を聞いたら、それ以後は口を閉ざしてしまった。 ・ 不登校が長期化したため、つい家族にも指示的な言葉が多くなってしまい人
間関係が崩れた。
(3)変化のきっかけは ☆改善された事例 ○小学校 ・ 中学校に入学したこと。(小男) ・ 欠席を1週間に1度と約束したこと。(小女) ・ 運動会が終わったら登校できた。(小男) ・ 運動会の組体操で集団として行動ができるようになったこと。(小女) ・ 修学旅行に養護教諭や級友が誘いに行って参加できたこと。(小男) ・ 朝から級友が迎えに行ってから登校出来るようになった。(小男) ・ 学校に出てきて皆と遊ぶように呼びかけたこと。(小男) ・ 子どもと担任の人間関係ができたこと。級友が夏休みに接触を図ったこと。
(小男)
○中学校 ・ 新しい学年に進級したこと。(中男) ・ 保健室登校を促したこと。(中女) ・ 運動会の応援の練習に意欲的に参加したこと。(中女) ・ 志望校の体験入学に参加したこと。(中男) ・ 登下校を車の送迎でするようになったこと。(中男) ・ 新しい友人と仲良くなったこと。(中男) ・ 母親が関係機関などに相談し、対応が悲観的でなくなったこと。(中女) ・ 父母と十分に話し合ったこと。(中男) ・ 家庭訪問を繰り返し重ねたこと。(中女) ・ 「くま川教室・しらさぎクラブ」(適応指導教室)に通うようになったこと。
(中学校9人) 新しい友達ができた。 生活のリズムが回復した。 知らない人の中よりも学校がいいと言いだした。 「くま川教室」の指導員の適切な指導・助言があったこと。 ・ 遊び仲間が転校したこと。(中女) ・ 進路を真剣に考えるようになったこと。(中学校人) ・ 福祉に興味をもち、将来の目標ができたこと。(中女) ・ 中体連の選手として出場したこと。(中男)
★改善されなかった事例 ○小・中学校 ・ 他校区の親戚で暮らすようになったため、連絡がとりにくくなったこと。
(小女) ・ かぜで体調をこわしたこと。(中女) ・ 仲の悪い男子とクラスや班が同じになったこと。(中男)
▽相談機関の事例 ・ 欠席届けは、本人が定時に学校に電話するようにしたことで、毎日担任との
会話ができ、生活のリズムを取り戻した。 ・ 10年後の自分の姿を話題にし、将来の夢や希望がもてるようになった。 ・ 外に連れ出して、夜の公園でサッカーしたり、海へ魚釣り、家事の手伝い、農
作業などを一緒に体験したことで心が開けてきた。
(4)学校の支援体制は ☆改善された事例 ○小学校 ・ 教育相談部会をはじめ、協力的な支援をしてもらっているので担任も安心し
て指導ができる(小) ・ 教頭を中心に養護教諭・専科・担任で対応しており、担任の精神的な負担
が軽くなった。(小) ・ 月1回、教育相談部で意見交換を行い、状況を理解してもらっている。(小) ・ 子どもとの連絡は担任がしているが、養護教諭や学年の先生たちと常に相
談をしながら、たくさんの先生たちに支援を受けている。 ・ 全職員で協力体制を整え、途中経過や方針など多くの協議の場をもってい
る。数名の先生が家庭訪問を行った。(小) ・ PTA学年懇談会を開き、保護者へも理解・協力を呼びかけた。(小) ・ 養護教諭と相談しながら、少しずつ対応の仕方に変化をさせていった。
(小) ・ 生徒指導部会で情報交換を行い、協議しながら共同歩調で進めている。
(小) ・ 校長・教頭や学年の先生によく声をかけてもらった。(小) ・ 全校の問題として校内研修の場で協議し、全体で取り組んできた。(小) ・ 不登校対策委員会をつくり、校長を中心に積極的に関わってもらった。(小) ・ 担任が迎えにいっている時は、学級を自習にせず職員が協力して指導にあ
たった。(小)
○中学校 ・ 学年主任に相談しながら進めていった。(中) ・ 養護教諭が熱心に支援してくれた。(中) ・ 生徒指導主事と相談しながら対応したため、担任の精神的な負担が減っ
た。(中)
★改善されなかった事例 ○小学校 ・ 学校全体の問題としてとらえているため、多くの先生に心掛けてもらう。
(小) ・ 担任を中心に、校長・教頭・生徒指導部・学年がそれぞれできることをやっ
ている。(小) ・ 担任を中心に対応しているが、学年・学校内で相談しやすい雰囲気であ
る。(小) ・ 校長に相談機関との連絡をつけてもらった。(小) ・ 校内研修として取り上げ、学校全体で取り組んだ。(小) ・ 担任を中心に対応しているが、校長・教頭も保護者への対応に積極的であ
る。(小)
○中学校 ・ 担任が中心であるが、主任のアドバイスや生徒指導部が関係機関と連携し
ている。(中) ・ 学年会を中心に話し合いをもって対応している。(中学校4人) ・ 保健室登校中は養護教諭と相談しながら対応した。(中) ・ 学年で協力して登下校の送迎をしている。(中) ・ 学年を中心に、生徒指導部と相談して対応している。(中学校3人) ・ 学校全体での支援体制はできていない。担任・養護教諭が対応している。
(中) ・ 担任が中心に対応している。(中) ・ 父親が帰省しているときに、校長も中に入り相談を行った。(中) ・ 登校したときは、教科の先生が励まし支援していく体制だが、実行されてい
ない。(中) ・ 担任が中心に家庭訪問しているが、学年主任も家庭訪問してくれている。
(中) ・ 教育相談の先生が交換日記や話し込みをしてくれている。(中) ・ 前年度の担任と連携して取り組んでいる。(中学校2人) ・ 不登校対策委員会ができ、相談しながら対応ができ、担任の負担が減っ
た。(中学校4人)
▽相談機関の事例 ・ 学校内で、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)が機能していない場合がある。 ・ 関係機関との連携が消極的な場合もある。(児童相談所・民生児童委員・適
応指導教室・各機関の相談員・警察署少年係) ・ 保健室では子どもの本音が出やすいので、養護教諭との連携は不可欠であ
る。 ・ 校長・教頭の一言で、職員は動きやすい。管理職の積極的な関わりが必要で
ある。
(5)家庭の協力は ☆改善された事例 ○小学校 ・ 親が子どもに無理をさせない方針なので親の意見を尊重している。(小男) ・ 協力的で小さな変化も報告してもらう。生活が不規則にならないことに努力
しておられる。
(小男) ・ 協力的だが、本人まかせが多いため担任との共通理解を図っている。(小
男) ・ 担任の熱意により、積極的に協力されるようになった。(小男) ・ 無理に登校させようとしていたのが、担任との相談で長い目で見守るという
態度に変化して
いった。(小男) ・ 両親とも登校について懸命に努力され、放課後の登校ができるようになっ
た。(小男) ・ 初めのうちは苦情の電話が多かったが、最近は減ってきた。(小女) ・ 話し合い後、たいへん協力的になった。(小男) ・ 母親が真剣に取り組んだ結果、朝遅れてでも登校できるようになった。(小
男) ・ たいへん協力的で、連絡を密にしながら対応している。(小学校4人) ○中学校 ・ 毎朝、欠席の連絡が親からある。(中男) ・ 愛情不足だったことを反省し、母親が仕事をやめて子どもと接する時間を
確保している。(中男) ・ 父親が単身赴任なので母親が苦労しておられるが、協力的である。(中男) ・ 父親が表面に出ることはないが、母親はたいへん協力的である。(中学校2
人) ・ 祖父と本人との人間関係がよくなり、じっくり話し込んでおられる。(中男) ・ 児童相談所での相談を機会に、考え方にゆとりができてきた。(中男) ・ たいへん協力的で、いつも連絡を取り合っている。(中学校3人) ・ 協力的だが、無理な登校は望まず、本人の自主性にまかせておられる。
(中女) ・ 両親とも協力的で、特に兄弟のアドバイスが励ましになっている。(中女) ・ 本人が変わらねばと本人まかせだったが、3年になったら協力的になった。
(中男) ・ 本人の意思を尊重され無理に動かそうとされなかった。(中女) ・ 祖母が本人のことを心配して、たいへん協力的だった。(中女)
★改善されなかった事例 ○小学校 ・ 消極的で協力が得られずに困っている。(小学校2人) ・ 学校からの一方通行で終わっている。(小女)
○中学校 ・ 兄弟2人も不登校だったこともあり、あまり関心がない。(中女) ・ 保護者が感情的になり、責めたり、甘やかしたりで、落ちついて話ができな
い。(中女) ・ 協力はしてくれるが、母親も疲れてあきらめぎみである。(中女) ・ 協力的ではあるが、本人が学校へ足が向かない。(中男) ・ 協力的ではあるが、母親の帰宅が深夜のため子どもに目が届かない。(中
男)
・ 保護者自身、登校させることに消極的である。(中女) ・ 欠席が長期化しているため、保護者も「どうにかなるだろう」と消極的であ
る。(中男) ・ 頑張らせたいと思っておられるが、祖母一人で世話しておられるため、指導
が届かない。(中男) ・ 連携はとれているが、登校には協力的ではない。(中男) ・ 協力的だが、父親の協力がもっと欲しい。(中学校3人) ・ 家庭内が落ちつかず、転校・引っ越しが多い。(中男) ・ 母親が主として話し込み、父親は表面に出たがらない。(中学校2人)
▽相談機関の事例 ・ 夫婦仲の良い姿が、子どもの心の安定感を生む。母親が肩に力が入りすぎ
る場合、逆効果になることがある。 ・ 子どもに接する父親の姿が見えてこない事例がある。父親の存在価値を知ら
せる努力も必要である。単身赴任の場合は、定期的な電話や子どもを指名し
た電話が効果的である。 ・ 不登校の影にテレビゲームがある。食事を共に出来ないため団らんがない。
生活のリズムが不規則で朝が起きれない。 ・ 弱音をはき合える家族、苦しみ・悩み・迷惑をかけ合う家族が必要である。お
互いに支え合う
家族が大事で、父親の自慢話は不要、子どもにはむしろ失敗
談が有効。 ・ 親が変われば子どもも変わってくる。短所より長所に目を向ける、愚痴より笑
顔、口を出さず、手を貸さず、しかし目を離さず、プラス思考で、兄弟を比較せ
ず、耳を傾ける努力を。 ・ 担任と保護者の会話は、プラス面は電話でもOK、マイナス面は真意や誠意
を伝えるためにも面談が効果的。 ・ 家にいる子どものために、母親がパートの時間を変更したり、昼には帰宅し
たり、昼には必ず電話したりした努力が実った事例もある。 ・ 生活習慣病への注意を怠らないこと。運動不足・遊び不足に加え、食べ物の
好き嫌いや間食が多くカロリー過多・栄養の偏りが多くみられ、生活習慣病に
なりやすい生活スタイルにどっぷりつかっている場合も多い。
(6)関係機関との連携は ☆改善された事例 ○小学校 ・ 主任民生児童委員に随時、家庭訪問をしてもらっている。(小女) ・ 「くま川教室」の先生と相談を続けている。(小女) ・ 巡回相談に担任・両親が相談した。(小学校3人) ・ 専門のカウンセラー・不登校アドバイザーに相談した。(小学校4人) ・ 担任がカウンセリングの研修を受けた。(小男) ・ 市保護課、児童相談員と連絡をとっている。(小女) ・ 市保護課・警察・児童相談所・民生児童委員と連携しながら対応している。
(小女) ・ 児童相談所から家庭訪問をして頂いた。(小学校2人)
○中学校 ・ 病院に通院しながら相談をうけている。(中学校3人) ・ 「くま川教室」に通っている。(中学校8人) ・ 担任が専門のカウンセラーと相談した。(中学校7人) ・ 担任・本人・家族が専門のカウンセリングを受けた。(中学校3人) ・ 児童相談所で担任・母親が面談し、本人もカウンセリングを受けた。(中学
校3人)
★改善されなかった事例 ○小学校 ・ 「くま川教室」のことを母親に話したが積極的でなかった。(小女)
○中学校 ・ 「くま川教室」には本人が行きたがらない。(中男) ・ 児童相談所に本人は行きたがらず、両親だけが相談を受けた。(中男) ・ カウンセラーの相談を本人は拒否し、担任だけが受けた。(中学校3人) ・ 適応指導教室(くま川教室・しらさぎクラブ)の機関を変えたが長続きしな
かった。(中男) ・ 専門のカウンセラーが接触を続けておられるが進展しない。(中男) ・ 相談機関をいろいろ紹介したが、保護者がのり気でなかった。(中女) ・ 病院へ行ったり薬を飲んだりしているが、相談機関との連携はできていな
い。(中女) ・ 母親は相談機関や病院へも相談しているが、本人を連れていくことはでき
ていない。(中男) ・ 「くま川教室」に通っていたが長続きしなかった。(中女) ・ 関係機関との連携には父親が抵抗感がある。(中女) ・ 母親と校長が「くま川教室」の指導員と相談している。(中男) ・ 本人と母親が児童相談所でカウンセリングを受けている。(中女) ・ 専門医の診察を受けている。(中男)
▽相談機関の対応 ・ 状況を判断し、適応指導教室(くま川教室・しらさぎクラブ・ながみね塾)を紹
介している。 ・ 適応指導教室へ学校からすすめにくい場合は、仲介役として入室指導をして
いる。 ・ 適応指導教室は学校復帰への助走機関として位置づけしている。
※ 全国の適応指導教室 平成2年84ヵ所 → 平成8年586ヵ所(7倍) 民間施設約300ヵ所
※ くま川教室(八代市教育委員会主催の適応指導教室)
性格 疲れた羽を一時休めるための「とまり木」
方針 ・ 学校復帰をめざす ・ 個性を尊重し伸ばしてやる ・ 生活のリズムを回復させる ・ 集団生活を中心とする ・ 来てよかったという充実感をもたせる ・ 自分で入室を決定させる
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